最近のスポーツ界で注目される「マインドフルネス呼吸法」をご存知でしょうか。
ダイエットに効果的なことから、エクササイズにキックボクシングを取り入れる女性が増えてきています。
キックボクササイズにマインドフルネス呼吸法の瞑想を組み合わせることで、心身どちらにもアプローチが可能です。
ここでは、マインドフルネス呼吸法についてやり方や効果はもちろん、瞑想法などをご紹介します。
目次
マインドフルネス呼吸法とは
マインドフルネスとは、日本マインドフルネス学会の定義によると「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、 評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」です。
見たり、聞いたり、触れたり、嗅いだり、味わったりなどの人間の五感に意識を向け、ただその感覚だけを追求し、その他の雑念はたとえその感覚についての感想であっても、頭の中から追い出すというような意味です。
マインドフルネス呼吸法では、呼吸をするということだけを意識するため、その他のちょっとした考え事や心配事のような雑念は脳から追い出します。
特に何もしていないのにやけに疲れていたり、なんとなくダルかったり、イライラしていたりなどといった症状がある方は、雑念で脳に疲労がたまっているのかもしれません。
実は脳の疲労の大きな原因のひとつは雑念なのです。
ちょっとした心配事や悩みなどの雑念で、脳のエネルギー消費量の半分以上を費やしていると言われています。
頭を使って何かをするといった建設的なことよりも、言葉にもならないようなちょっとした雑念によって脳はずっと疲れるのです。
そんな雑念を頭から追い出すマインドフルネス呼吸法を実践すると脳はリフレッシュされ、仕事や学業など、日常生活のさまざまな面に良い影響を及ぼします。
実際にそのような効果が知られており、GoogleやFacebook、Appleなどの大企業でも、研修にマインドフルネスを取り入れているのです。
また、これにより社員のストレスが減少し、生産性が上がるといった調査結果も出ています。
マインドフルネス呼吸法の脳への効果
上述したようにGoogleやAppleなどのアメリカの大企業が研修にマインドフルネスを取り入れ、スポーツ界からも注目されるようになりました。
これはマインドフルネス呼吸法の脳への効果が、さまざまな研究や脳科学の進歩によって実証されているからです。
瞑想といったら、従来は単に自分の気持ちの持っていき方の変化だと思われていました。
多くの研究の結果わかったのは、脳の機能や構造そのものが変化しているということです。
うつや不安などの心理的なストレスが減少したといった、約12,000人以上の被験者を対象としたデータもあります。
MRI (Magnetic Resonance Image 磁気共鳴断層撮影装置)を使った研究では、脳の感情コントロールに関係する左海馬や、思いやり・共感に関わる側頭頭頂接合部に変化が見られたことが報告されました。
これらのことからマインドフルネス呼吸法が脳にもたらす効果には、以下のようなものが挙げられます。
・脳が変化する
マインドフルネス呼吸法には、脳を変化させる効果があります。
長期間続けることで、無駄な雑念で脳を煩わして疲労させることが少なくなり、いわば脳の省エネ効果が期待できるのです。
・能力アップ
脳から余計な雑念が排除されるので、脳の能力アップが期待できます。
集中力が増し、思考力や記憶力も向上するのです。
・心が明るくなる
マインドフルネス呼吸法によって、雑念を脳から追い出したら、普段からさまざまな不安に煩わされ、悩んだり心配したりイライラしたりといったことが少なくなります。
つまり、心が不安や悩みで占領されることが減少し、明るい気持ちでいられることが多くなるのです。
マインドフルネス呼吸法の健康効果
日本でマインドフルネス呼吸法が注目されるようになったのは近年のことですが、アメリカでは1970年代から医療の現場に取り入れられはじめています。
それに伴い、多くの研究や調査がおこなわれ、マインドフルネスのさまざまな効果は実証されました。
実際に脳の機能や構造に変化が見られることも分かっており、そのことで身体の健康にも以下のような効果があります。
・免疫力の向上
マインドフルネス呼吸法を8週間実施したグループと、実施していないグループを比較した研究では、インフルエンザの抗体が増すという調査結果が得られています。
これはアメリカでおこなわれた調査研究ですが、近年日本の大学でもおこなわれており、同様の結果が出ているのです。
・不眠症の改善
アメリカ睡眠医学会の研究によると、マインドフルネス呼吸法により深くリラックスすることで、睡眠の質を改善できることがわかっています。
2カ月にわたる実験で、眠りにつくまでの時間や睡眠時間、起きている時間、睡眠中に目が覚めた回数などを調査した結果、それらが改善し、気分の落ち込みも改善したと実証されました。
・がん患者の痛みの緩和
アメリカでは、がん患者の痛みの緩和にマインドフルネス呼吸法を取り入れており、これは、25年間で約16,000人の患者に影響を及ぼしていると言われています。
そのほかにも、マインドフルネス呼吸法はうつ病の予防や自律神経を整える効果、集中力や記憶力の向上、ストレスの軽減、さらには認知療法への導入などにも期待されているのです。
マインドフルネス呼吸法のストレス軽減効果
私たちがストレスを感じることのひとつに「不安」があります。
この「不安」とは、主にすでに起こってしまった失敗やこれから起こるかもしれない失敗に基づいていることが多いです。
過去や未来に関する不安がこれに該当します。
マインドフルネス呼吸法では、自分が生きている「今」の瞬間のみに目を向けるものです。
マインドフルネス呼吸法によって、過去や未来から切り離され、「今」その瞬間にだけ目を向けることで、不安や恐れから解放され、それによるストレスからも解放されます。
マインドフルネス呼吸法を取り入れると、感情が安定して人間関係にも良い影響を及ぼすことから、負の感情にとらわれすぎなくなるのです。
常に冷静でいられるので、集中力や記憶力も向上し、仕事や学業などの効率も良くなるでしょう。
現代は、ストレスの多い時代です。
ストレスが軽減される効果が望めるマインドフルネス呼吸法は、アメリカや日本の大企業の研修に取り入れられ、イギリスでは義務教育にも導入されています。
マインドフルネス呼吸法は、決して難しい呼吸法ではありません。
楽な姿勢で行えるので、小さなお子様から高齢者の方まで年齢や性別を問わず誰でも実施できます。
マインドフルネス呼吸法のやり方
マインドフルネス呼吸法は高価な器具やウェアなどを購入する必要もなく、自宅などリラックスできる場所で、自分の身体ひとつあれば気軽に実施できます。
基本的には、安定した楽な姿勢をとり、自分の呼吸に意識を向けるだけです。
ここでは、一般的なマインドフルネス呼吸法のやり方をご紹介します。
・姿勢
立っていても座っていてもどちらでも良く、安定した楽な姿勢を取り、背筋は伸ばします。
肩の力は抜き、目は閉じていても開いていても構いません。
目を開けている場合は、よそ見せずにどこか1点を見つめると良いでしょう。
・呼吸に集中する
良い姿勢をとったら、すべての雑念を頭から追い出し、ただ自分の呼吸を意識します。
慣れないと雑念が入り込んでくるため、そのときはまた呼吸に意識を向けてください。
息を吸って、はいて、吸って、はいて、と呼吸することで、空気が自分の身体の中を流れていき、呼吸に合わせて肺も膨らんだりしぼんだりします。
それをイメージして呼吸に集中してください。
・時間
一般的には、数分~10分程度実施するとされていますが、それ以上やっても問題はありません。
時間がないときなどは、もっと短くてもよいでしょう。
つまり、自分の都合に合わせて好きなだけして良いのです。
・タイミング
おすすめなのは朝や夜寝る前です。
朝おこなうとすっきりと目が覚め、やる気やエネルギーがわいてきて、1日の好スタートが切れるでしょう。
夜寝る前だと、日中の出来事をリセットして深くリラックスでき、ぐっすりと眠れます。
マインドフルネス呼吸法の有名な瞑想法5つ
マインドフルネス呼吸法の一般的な方法について解説しましたが、ここではマインドフルネス呼吸法の有名な瞑想法についてご紹介します。
・呼吸瞑想
一般的なマインドフルネス呼吸法で、イスなどに座って姿勢を正し、呼吸だけに意識を向ける瞑想法です。
自分の身体に空気が取り入れられ、膨らんだり縮んだりの体の変化を感じます。
その感覚のみに集中して、雑念は脳から追い出すのです。
・歩行瞑想
マインドフルネスは歩きながらも可能で、歩いているときに自分の身体が感じるさまざまな感覚に意識を向けます。
足の裏で地面を踏む感覚や地面から受ける衝撃、足や手が自然に動く感覚、気温や通り抜ける風の感覚など、自分の感覚に集中するのです。
雑念が入り込んできたら、また歩行の感覚に集中します。
・食べる瞑想
マインドフルネスでは食べる瞑想もできます。
食べるという感覚そのものだけに意識を向けるのです。
食べ物を口にすると、口の中にさまざまな味覚を感じます。
食べる以外にも箸やスプーンなどが唇に当たる感覚や舌に感じる感覚、歯で噛むときの感覚、料理の香りや温度など、それらにだけ意識を向け、食べるということそのものに集中するのです。
雑念が浮かんできたら、それを脳から追い出し、また食べることに意識を向けます。
・慈悲の瞑想
マインドフルネスが、人間関係に影響を及ぼす瞑想法です。
基本的には自分の周囲の人々の幸福を願います。
家族や友人、職場の上司や部下など、一人ひとりを思い浮かべ、ひたすらその幸福を願うものです。
それ以外の雑念が浮かんだ場合はそれらを追い出し、また幸福を願うことに集中してください。
・ボディスキャン瞑想
夜寝る前に行うのにちょぅど良い瞑想法で、仰向けに横になって、身体の感覚を一つひとつ感じていきます。
まずは右足のつま先から、左のつま先、ひざ、太もも、腰といった具合に、頭まで順番に体温や布団の肌触り、重さなど体に感じる感覚を味わうのです。
呼吸は吸い込んだら足の先まで新鮮な空気が流れ込んでいくイメージで、吐き出したときは古い空気が足の先から体を通り抜けて出ていくイメージで、集中してみてください。
雑念が入り込んだら追い出して、ボディスキャンのみに意識を向けましょう。
マインドフルネス呼吸法はスポーツ界でも注目されている
マインドフルネス呼吸法は、アメリカや日本など、世界の大企業が取り入れていることで知られている呼吸法ですが、スポーツ界でも注目されています。
世界的に有名なバスケット選手や、テニスの世界ランク上位の選手など、世界のトップアスリートたちも、マインドフルネス呼吸法を取り入れており、その実際の様子がメディアに取り上げられることも多いです。
マインドフルネス呼吸法を導入することで、パフォーマンスが向上することがわかっており、アメリカのオリンピックセンターでも取り入れられました。
このように、いまやマインドフルネス呼吸法は企業やスポーツ界に広く浸透しており、その効果も実証されている確かな技術だと言えるでしょう。
マインドフルネスの瞑想的なキックボクササイズはスッキリ感がスゴい!
ダイエットに効果的と話題となっているキックボクササイズですが、これにマインドフルネス呼吸法を組み合わせると、さらに効果が高くなるでしょう。
マインドフルネスが融合したキックボクササイズで、スッキリ感のスゴい最高のトレーニングを試してみてくださいね。